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アリスの住人

Resident of Alice

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一般社団法人

日本ファミリーホーム協議会 本部理事

若狭佐和子さんに

ファミリーホームとは

2008年より施行された里親制度を発展させた制度で、里親や児童養護施設職員など 経験豊かな者が養育者となり、その家庭に迎え入れて養育する「家庭養護」のこと。

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ファミリーホームを始めたきっかけ

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若狭さんがファミリーホームを始めるきっかけとなったのは?

里親を平成8年からやっていたんです。割と部屋数のある家ということもあり、1人ずつではなく、兄弟3人とか そこにまた1人、といったような感じで委託を受けていたんですね。 そうすると自然と大家族のような形になり、まあ元々、大家族のイメージを持って里親を始めたんですけどね。 実子が2人が居て、そこに主人の父母、さらにその里子の子たちっていうので、人数の多い家族っていう、 そういうイメージで里親は始めています。 それで平成16年頃から東京都ではこのファミリーホーム制度というのが元々あって、人数を多く委託する里親さんをファミリーホームって呼んでたんですけど、その制度が全国的になったのが平成21年で、そこからうち も国制度のファミリーホームになりました。

お子さんが2人いらっしゃると伺いましたが、里親を始めた際は何歳と何歳だったのですか?

2歳と0歳です。なので一緒に育てる感じで始めました。最初に里親で迎え入れたのは3人の幼児さんたちでした。 それは短期で1ヶ月とかだったので、まあなんとか頑張ればできるという気持ちでしたし、私もまだ若かったので。

そうだったんですね。それは児童相談所からそれは児童相談所から「受け入れできないか」という要請がきて、 受け入れ態勢が整っていれば迎え入れるということですよね

はいそうです。

その1か月という期間は最初から決まった形で要請がくるのでしょうか? ある程度見通しを立てて児童相談所から委託されます。例えば実母さんが夜のお仕事されていてお子さん達の 面倒まで行き届かないというケースがあったとして、その実母さんが昼間のお仕事に切り替えて、 夜はお子さんたちと過ごすという環境が整うのが1か月後くらいでしょう、といった見通しを立てられた状態で委託されます。

虐待が理由で「養育環境にない」と判断されてというパターンもあれば、実親さんの状況とか環境とか、 そういったものである程度見通しを立てられた委託もあるということですね。

はい、そうです。

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子供たちの反応

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若狭さんが最初に里子を受け入れられた時、0歳と2歳の実子はどのような反応をされてましたか?

そうですね、0歳の子はまだその辺で転がってる感じだったので、そこまで関わりはなかったですけど(笑)2歳の子はどうなんだろうと。 むしろ実子の方を心配したぐらいでした。来た子(里子)たちは元気だったんです。「保育所がここになったんだ」とそんなくらいのイメージで 来てたみたいで。私たちの方が圧倒されてしまって、もうびっくり。(笑) 私も最初の委託の時は、里親のところに来る子ってもっと傷付いていて、自分を表に出せないとか思ってました。全然知らない人の家に置いて いかれるわけですから。慣れるのにすごく時間もかかるだろうし、温かく接してできるだけ心開いてもらえるようにしようと思ってたのですが、 その子たちは違っていました。幼児というのもあったかもしれませんが、本当に保育所がここになっただけ、という感じで皆んな元気で。逆にうち の娘も一緒に遊べるのかしらと思ったけど、ちゃんと一緒に遊んでて、で一緒に喧嘩して、で一緒に怒られるみたいなね。(笑)そんな毎日でしたね。

かわいいですね。(笑)その子たちは1ヶ月くらいでまた実母のところに戻られたんですか。

はい。

その子供たちとの交流は 今でもあるのですか?

その子たちとはないですね。 児童相談所の里親担当の方 経由で聞いたぐらいで「元気 にやってるみたいですよ」とか。

その子たちは今何歳くらいに なられたんでしょう?

何歳だろう。もう30近いと 思いますよ。

へえ、すごい歴史を 感じますね。 そうですねえ。

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預かってから自立まで

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一人の子供を18歳までというより短期的な預かりみたいな方が多いのですか?

その里親さんの年齢や家族構成、家の大きさや部屋数、あと里親さんの希望もありますよね。幼児から長く育てられる子を希望する里親さんも いれば、短期で少し頑張って暫く休める感じで委託を受けたいですという里親さんもいらっしゃいます。ほんと様々なんです。うちの場合は特に 限定してなかったんです。「必要であればいつでもどうぞ」という感じに。短期もあれば、2歳から今もずっとうちにいる子もいますし、中高生から やってくる子もいますし、一時保護のような形の子もいます。

色んなケースがあるのですね。今、若狭さんのお家には何人のお子さんがいらっしゃるのですか?

この前まで6人だったのですが1人親元に帰って今は5人ですね。

今まで一番長くこのお家に居たお子さんは何年くらい居たのでしょうか。

今まだ居るんですけど、2歳の時にうちに来て、今22歳、なので20年うちに居ますね。

ファミリーホームの制度は18歳になったら出ないといけない(場合によっては延長も可)という規定 があると思うのですが、今22歳のお子さんは延長の申請か何かをされたということでしょうか。

延長は19歳まででした。19歳の年度末に委託が切れて、けれど障害を持ってる子で、私としても一人暮らしをさせるのは少し心配だったんんです。 障害者枠で就職しててお給料ももらってはいたのですが、2歳から育ててるし、お家にいればそんなに心配なく生活もできるし、「お家に居れば?」 みたいな感じで。(笑)普通の家族としてね。彼もお給料の半分近くお家に入れてくれてて。

それはすごいです。その延長が終わった後は制度からは外れてしまうけど「お家にいていいよ」というパターンもあるのですね。

はい。割と里親さん、そういうご家庭多いので。

そうですよね、何十年も一緒に居て、制度が終わったからって言っても、そんなのね、中々できないですよね。

そうなんです。本人がね、自立したいって言えば自立させますし、自立したいって言っても「その力でできないよね」となったらできるだけ手元に 置いておいて、もう少し力ついたらね、という感じに。まあ自立できるまでお家にいるっていうのが本当の里親のスタイルなのかなあって思います。

制度とかあれどやっぱり家族には変わりないなあとお話を聞いていて思いました。 僕も実家が大阪で親と今一緒に住んでないけど、それも家族の形ですし、制度があっても形は変わらないというものを感じました。

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引き継ぎ|急な別れ

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キャストの方からも質問を預かっていまして、例えば養育者が年齢的な問題であったり病気になったりして子供たちを育てられないとなった場合、 引き継ぎなどはどのようにされているのでしょうか。

それは全部ケースバイケースで対応してもらってます。養育者のどちらかが病気や亡くなることがあって1人になってしまった場合、もう1人近くに 一緒に住んでくれる養育者が居れば子供はそのまま居られるし、1人になってしまっても子供と養育者の関係性がしっかりできていて、1人でも 18歳まで育てられるだろうという判断ができる場合はそのまま子供は居続けられます。ただ1人で5人とか大変な状態だと、少しずつ施設や他の 里親さんやファミリーホームさんを考える人もいます。とにかく子供の不利益にならないような形で対応してもらっています。

なるほどですね。子供やファミリーホームさんや里親さんにとって、両方が負担にならない形になるよう対応してくれるということですね。

必ずしも里親さんやファミリーホームさん側の希望が通るということではないですが、 協議しながら進めていって最終的には児童相談所の判断に委ねるという形になります。

でも、そういった急な別れが生じた場合、とても淋しいですね。

はい、そうなんです。こちら側の事情で手放さなきゃならない時は本当に申し訳ない気持ちになります。 でも逆に実親さんのところに急に帰されるとか、実親さんの環境が整ったからはい帰します、といったケースもすごくあって、 そういう時は引き離される気持ちになるのでとても辛いなあと感じます。「え、急に?」みたいなね。

その時には子供が例えば「いや、私はこっちのお家の方がいい」というような主張できる権利みたいなものはあるのですか?

子供の年齢で、自分の意思をはっきり言える子供の時は児童相談所も話は聞いてくれます。ただ親権者は実親さんなので、 実親さんの環境が整っていて実親さんが育てますと言ってる限りは親権者の方が強いので。

うーん。

本当にこの子を帰していいかというところで、面会してお泊まりして、そのお泊まりが1週間になり1ヶ月になり、 実親さんの方に慣れてくるのを待つ、みたいな。(笑)

若狭さんとしては子供たちが実親さんの元に帰るということは喜ばしいことですか? それとも心配の方が大きいですか?

えーと、うーん、実は心配の方が大きいです。(笑)本当は喜ばしいことであるべきだと思っています。 やっぱり実親さんが自分の子供を育てられるっていうのが一番いいことだと思うので。 でも実親さんのところに帰してもすぐにまた児童養護施設などに戻されるといったケースも少なくないんです。 なぜ施設かというと、実親さんも子供と関わっていきたいという気持ちで、施設との間で面会の日取りなど決められるのですが、 里親の場合は間に児童相談所が入るので少しハードルが高くなっちゃうんですよね。 ファミリーホームは地域によって違ってくるのですが東京都は里親と同じで間に児童相談所が入ります。

お子さんがこのお家を、どういった形でも「出る」となった場合にお別れ会みたいなものはするのですか?

あまり大体的にはしないですけれども、「最後の日は何食べたい?」って聞いたり。

「最後の日は何食べたい?」はすごい言葉ですね。お互いに覚悟みたいなものを持った日なんだなと。 子供も分かっているし、里親としても、ねえ・・・。やっぱり手作りの料理を食べたいと言いますか?

大体ねえ、肉って言いますね。(笑)この前出た子はカツ丼でした。(笑)急に出る子はそんな感じですけど、 余裕を持って自立の日を迎える場合は、じゃあ皆んながいるときにタコ焼きやろうとか、パーティー的な感じでやる時もあります。

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ファミリーホームのママ、パパになるためには?

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ファミリーホームを開いて子供たちを受け入れたいという時に、まず何から始めればいいのでしょう。

大きなお家、部屋数もそれなりにあるお家で子供たちをたくさん受け入れていいよという里親さんになるというのがまず1つと、 もう1つは施設(児童養護施設や乳児院といった児童福祉施設)の職員として経験を積んでそこからファミリーホームになる場合と2種類あります。 施設職員の方は保育士の免許が必須です。免許取得後に児童福祉施設で3年以上経験を積んで、それからできれば自宅がいいのですが、 自宅じゃなくても家賃補助が出るのでお家を借りてそこで始めるっていうパターン。その2つがあります。 ファミリーホームは1人では始められないので、必ず養育者が2人、補助者が1人以上、その人数で始める。

里親に関しては資格、もしくはそれ似たようなものはあるのでしょうか。

里親は里親登録をする時に、認定を受ける際に様々な条件をクリアする必要があります。例えば一つ屋根の下に、まあ同棲カップルでもいいのですが、 家族として2人以上住んでいるとか部屋の数であったり。東京都は割と細かく決められているのですが、これは各自治体で変わってきます。

では里親の方がまだハードルが低いということですかね。

私はそう思います。けれど一番手っ取り早いのは保育士の資格を取って児童福祉施設で3年以上経験を積むことかもしれません。 里親からの場合は里親登録をして5年以上、そのうち同時に2年以上2人以上を委託して、その5年の間で5人以上の委託を、と言った具合ですし、 里親になる条件も加わってきますので、独身でファミリーホームを始めたいと思った時は保育士の資格を取って、という流れの方が早いです。

先程、ファミリーホームを始めるのに必ず養育者が2人、補助者が1人以上必要と仰っていただきましたが、 例えば養育者の1人が経験を積んでいて、もう1人は何も経験していないということでも大丈夫なのですか?

大丈夫です。

養育者の関係性は夫婦が望ましいとは思うのですが、例えば養育者2人が友人の関係でも成立しますか?

はい、成立します。けれど施設職員からファミリーホームになる人も、今後、里親登録が必要になってくるみたいで、 なので家族という形態を持って里親とするのか、ちょっとまだ分からないですが、今ちょうど移行期間中で色々組み立っていないんじゃないかなあと。

僕も自分で調べたり、今お話を伺っていく中で、かなりハードルが高いなという印象を受けました。けれど同時に高くあって然るべきとも思いました。 とてもデリケートでセンシティブなものですし、ましてやどういった環境から来る子供なのかというのもあるでしょうし、 それで少しの養育経験だけで対応するのは難しいだろうと想像しました。「やっぱり自分には向いてなかった」と、 そこで放棄されてしまうかもしれないということもあったりするからハードルは高くあるべきだと思っています。 ただ、でもそうすると、受け入れ先が少ないから困ってしまう子供たちが増えるという矛盾というか問題も出てきてしまいますね。

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子供たちについて

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例えば0歳や1歳の子供を迎え入れて、その子供たちが物心ついた時は若狭さんがお母さんと思って過ごしていると思うのですが、 実親がいるんだよ、ということを伝えたりしますか?

はい、します。

それは子供たちが何歳くらいの時に?

一番良いとされているのは幼児期の時にと言われていますが、一人一人成長が様々なので、子供が理解できる範囲で徐々にという感じですね。 最初から難しい話をしても子供は理解できないので、最初は、「産んでくれたお母さんがいるんだよ」という話だったり、 「私のお腹から生まれたんじゃないんだよねー」みたいな話から始まって、「じゃあお母さんはどこにいるの?」という疑問が本人の中に出てきた頃に 「じゃあ児童相談所の先生に聞いてみようか」とか「母子手帳にはこういう風に書いてあるよ」とか、もし写真があったら写真を見せるとか、 そういう段階的になっていって最終的には「なんで自分を育ててくれなかったの?自分の親は」という疑問になってくるわけです。 子供からの疑問に答えて説明していくご家庭もあるし、子供が「聞きたくない!」みたいになる場合もあるので、子供の日頃の様子を見ながら、 その時の気持ちに沿って、子供が傷つかないような伝え方をしていくのに、本当のことは最初伏せておいて、 どうしても事情があって育てられなかったんだよね、というところで話をしていきます。

高校生や中学生といった考えがはっきりしている段階で説明するのかなと思っていたのですが、そういった思春期の時に伝えると、 ドンっと受けて悶々としてしまうから、幼児期から「自分はそういう環境で育っているんだ」と馴染ませていく意味でも早い段階が良いのですね。

そうですね、でも子供たちも大きな勘違いをしてることがいっぱいあって。

勘違いですか?

自分を産んでくれたお母さんやお父さんがいるって分かったら、「きっと僕を待っててくれてるに違いない」とか、「きっと自分の親は自分を育てる ために今お金をいっぱい貯めてて自分を引き取ったら大金持ちに違いない」とか、なんでそう考えるんだろうと思っちゃうんだけど、 そういう夢一杯になっちゃう時期があって、それから思春期になって「あれ、自分の親の事情ってどんなことなんだろう」と思いを馳せた時に モヤモヤっとなって、それで高校卒業するくらいになると「実親どうでもいいです」みたいになる子が多いです。 それは実親さんに会えていない子たちですけど。実親さんと面会などして会えてる子たちはまた違ってきます。でもそんな感じですね。 中には「どうしてあんな育て方をしたんだろう」「向こうの家ではダメだったけどこっちの家ではいいんだ」といった具合に、 なんかそこの部分で「自分って一体何なんだろう」っていう悩みになってくる子たちもいて、そこから抜け出すのがすごく大変そうです。 だからその辺が今回の映画は割と私は「ああ、うちの子たちもそうだよなあ」って思ったところはありましたね。実親さんとの間で悩む子供たち。

映画の中の、どの子に当てはまりましたか?

3人とも実親さんの部分が映画の中では出てきていて、子供たちのそれぞれの生活の中で少なからず影響を受けているっていう設定ですよね。 の部分で、うちで何気なく暮らしているように見えるけれども心の中はこうなんだなっていう風に、映画でむしろ再確認させてもらいながら観てました。

なるほどですね。子供たちが実親さんのことで若狭さんに聞いてくる一番多いものってどういったものですか?

うーん、どんなことだろう・・・。

例えば、「君はこういう環境にいて、で、今ここにいるんだよ」と幼児期くらいの時に伝えて、そこから色々考えだすと思うんです。 それから若狭さんの方に聞いてくる内容として、どんなものがあるのかなと。

面と向かって聞いてくる子はほとんどいないですが、匂わすというか。 やっぱり「なんで自分の親は自分を育てられなかったんだろう」というところが気になるみたいです。 「なんで自分を手放しちゃったのかなあ」とボソッと呟くみたいな。 それも聞けない子たちは自分で勝手に想像しちゃって「自分は捨てられたんだ、自分はいらない人間なんだ」ってずーと落ち込んでたりとか。 「なんでそんな風に考えちゃうの? そんなわけないじゃん」って割と明るくは言うんだけれど、そういう風に考えるんだって思う時がありますね。 「自分は産まれてきてはいけない子だったんだ」って。

でもその時は明るく接してあげるのですね。

子供にとってどっちがいいかは分かりませんが、 同じように考えてくれる人の方がホッとするのかもしれないし、 私みたいに「そんなことないよ」って明るくね。 でも時には「そうじゃない!」と厳しく言う時もあります。 やっぱり心に力は注入してあげないとなあと思ってます。 その子その子で変わってきますし、うちのやり方で その子がどっちに転ぶかは実は分からないんです。 とても傷つけている時もきっとあるだろうし。 そこも分かってあげられるようにしたいなと思いながらやっています。

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実親について

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実親さんのケアをしたりとか、まあリハビリって言い方が合っているか分からないですけど、 子供たちを引き戻すというトレーニングみたいなことはするのですか?

どの程度されているのか、私は実親さんとの関わりがほぼないので分からないですけども、それに応じてくれる実親さんであればトレーニングを して子供を帰していくっていうことは可能だと思います。どこでトレーニングしてとかまだそこまでシステムは整っていないんですけど、 全くないわけじゃなくて、カウンセリングを受けているとか、児童相談所に通ってプログラムを受けているとか、そういう人たちはいるはずです。 例えば名古屋に虐待防止プログラムっていうのがあって、子供の育て方のプログラムを受けて下さい、みたいなのがあって、そこに実はファミリー ホームさんすごく関わっていて、そのプログラムを作った人が、まあうちの主人といとこなんですけど、名古屋は今、市とも協力して親御さんへの アプローチをどんどんしてます。そういうものが今後拡がっていくんじゃないかなと思っています。 ただ、そのプログラムを「はい受けます」という親御さんが少ないんです。「なんだ、うちの子返せ」みたいなね、そういう親御さんも、自分も そうやって育ってきてますので、自分の何がいけないのか、まず分からないし、それを分かろうとするのも中々難しいんだろうなあと思ってます。 やっぱり自分を否定されるのって嫌じゃないですか。自分のやり方が間違ってたって。自覚したところからしか始まらないですから、 そこが一番難しいんだろうなあと思いました。

他のところで取材をした時に、児童相談所に子供を取られたみたいな感覚になってる親御さんが結構いたりするっていうのを聞いて、 そうだよなあという風には思いましたね。自分では普通に育てている感覚でいても、そうじゃなかったり。 そんな親御さんに「じゃあトレーニングしましょう」と言っても「じゃあします」とは中々ならないですよね。

そうなんです。

子育てのコーチングと言っては偉そうになっちゃいますけど、子供とこういう風に接しているとか、こういうケースがあるんだよといった、 ファミリーホームさんや里親さんの経験談みたいなものを講演のような形で広く提供していければ、「やりたくて虐待をやっているんじゃない」 という実親さんが自分を変えたいと思ってそういう講演に出向き、一つでも気付きや考え方を得られれば変われるのかなあと。今日お話を伺って、実親さんへのアプローチをしていける何かがもう少し増えていけばいいなあと感じました。

本当そうなんです。失敗談も。私も失敗だらけですし。でもその失敗があるからこそ乗り越えられることが沢山あって、 里親さんの中には失敗しちゃって立ち直れなくて、里親をやめちゃう人が多いです。 だからその失敗を一緒に乗り越えようよっていう仲間が沢山いた方がいいし、 それは里親に限らずファミリーホームも同じで、はたまた実親さんも同じです。 虐待したくてしてる親御さんはそんなにいなくて、 気が付いたらそうなっちゃってたっていう、そういう部分で同じ気持ちを持ってる人は沢山いるので 「そうか、じゃあどうすればいいのか、どこを変えていけばいいのか」っていうのを皆んなで 考えられるようになればいいって。ファミリーホームもそのお手伝いをしたいって考えながらやっています。 子供たちを預かってますけれども実親さんも一緒にっていう気持ちを持ってるファミリーホームさんすごく 多いので、今後何かの役に立てればいいなって、本当この映画の中の実親さんの部分を観ても思いましたね。

この映画もその一助になってくれればと願ってますし、「子供たちに良い環境を」というところで、 別にファミリーホームさんと実親さんとが敵対してるわけではないですし、その一つの目的に集約して、 僕は映画という形で自分への戒めの念も込め作りましたが、別の形でも、そういう発信の材料が増えて いけばいいなと思いました。

そうですね、そういうのが本当に必要で、そういうのを里親やファミリーホームとして世の中に発信できる 力は欲しいなって思います。

本日はありがとうございました。